演習(ゼミ)

「日常と学問をつなぐ楽しさを」 乾教授ゼミ(データ分析)

掲載日:2024/06/28

「日常と学問をつなぐ楽しさを」 乾教授ゼミ(データ分析)

国際社会科学部―学習院ISSにおける魅力の1つ、ゼミ。ISSでは「専門演習」「卒業演習」という名称でゼミを開講しており、2年生までに学んだ社会科学の基礎知識をベースに、興味のある分野の専門家のもと研究に取り組みます。
ゼミとは何をするものなのか?個性豊かな各ゼミの魅力とは?

今回は、データ分析を専門とする乾教授と、そのゼミ生にお話を伺いました。

乾先生のゼミ(専門演習・卒業演習)で扱うテーマは何ですか。

本ゼミでは、経済を数量的な視点から分析するデータ分析をテーマとし、ゼミ生たちが自身の興味を軸として自由に題材を選び、研究に励んでいます。

研究と聞くと非常に堅苦しい印象を受けるかもしれません。しかし、データ分析が日常の中に潜む様々な課題や疑問を解決する可能性に気付いてもらうために、学生たちが常日頃から考えたり、感じている興味関心を起点として自由な調査・研究することとしています。

昨年度には、「コロナ禍におけるコスメ売り上げの変化」についての研究がありました。このグループは緊急事態宣言下においてマスク着用が呼びかけられ、この時期のメイクはそれ以前と比べて変化したと実感しており、それに合わせて売上も変化したのではないかと考え、研究を行いました。

ゼミではどのような活動を行っているのでしょうか。

まず専門演習では、4名前後のグループをつくり、一年間かけてグループ研究を行います。専門演習の段階から、メンバー間で自由に内容を決めることができます。そのため、必要な情報や、調査方法、用いるデータは班ごとに異なり、自主的に研究を進めていく形となっています。研究した内容は、他大学と合同で開催されるインターゼミの場で発表する事ができます。

現在研究を進めている例を一つ紹介すると「SNSの普及と幸福感」というテーマのチームがあります。SNSは幸福感を促進するのか阻害するのか、仮に疎外するとしたらどのような対策が考えられるのかを分析中です。

一方卒業演習では、個人あるいは2人組で卒業論文を執筆します。専門演習に比べ、卒業論文では内容や分析方法がより高度なものとなっていきます。個人の研究の自主性が重んじられ、学生たちは専門演習で学んだ知識や培ったスキルで、切磋琢磨しながら論文を仕上げていきます。

「専門演習」「卒業演習」の魅力、醍醐味とはなんでしょうか。

一番の魅力は、先ほどより述べている研究テーマの自由度だと思います。学生自身の好奇心と直結することで、学問が、日常に潜む課題や疑問を分析できるといったことを実感できるものと考えています。

ゼミ生同士の仲が良く、研究の楽しさだけでなく、和気藹々とした雰囲気を味わえることも本ゼミの魅力の一つだと感じています。

最後に、大学生活の集大成として、グループ研究であっても卒業論文であっても、纏まった研究を仕上げるというのも、大学生活の醍醐味の一つと言えるのではないでしょうか。

 

ゼミ生インタビュー(2021年度入学・佐藤 花乃さん)

乾ゼミにはサポーターを含め4年生が3人、3年生が22人の計25名がいます。国際社会科学部で最大規模のゼミであり、元気で積極的な学生が多く集まっています。乾ゼミはとにかくアットホームで、私が乾ゼミに入ろうと思った理由の一つでもあります。実際、乾先生はいつも笑顔で話しかけやすい雰囲気があり、お父さんのような存在です。また、就活のことなどゼミ以外のことも積極的に相談に乗ってくれるなど、とても包容力があります。一方、研究においては妥協を許さない厳しい面などもあり、よい緊張感があります。

乾ゼミでは「データ分析」を学びます。経済データを数学的・統計学的に分析し、根拠を示した上で経済や社会の現象を明らかにします。もともと数学が好きであったことから、楽しく学んでいます。現在、ゼミでは輪読を行っており、読み物を読み、理解し、それを他者へ分かりやすく説明する力を培っています。

私自身はゼミ長として、ゼミの取りまとめやゼミ紹介スライドの作成、合宿・懇親会の幹事など、研究以外のことにも取り組んでいます。卒論も乾先生の指導のもとで進めており、イギリスが植民地支配した国の中で先住民に対する差別の有無を調べ、「先住民への差別の残存状況」というテーマで書こうと考えています。このテーマにした理由は、2年生のころ、オーストラリアのUniversity of South Australiaへ留学した際、先住民の方に対する差別を目の当たりにしたことから、他の国では先住民への差別がどうなっているのか知りたいと思ったからです。

今年は、乾ゼミでデータを読み取る力をもっと身に着けたいと考えています。データからトレンドを読み取る力、ゼミ長としての多くの人をまとめる経験は、社会人になってからも活かされると思います。

※掲載内容は取材当時のものです。