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【開催報告】第14回学習院大学ブランディング・シンポジウム(第34回生命科学シンポジウム)

2024.06.17

研究

社会・地域連携

202468日(土)13時~、学習院大学東1号館イベントスペースにおいて、第14回ブランディング・シンポジウムを対面とZoom(ウェビナー)を併用したハイブリッド形式にて開催しました(共催:理学部生命科学科、国際センター、桜友会寄附講座、後援:豊島区、学習院大学理学部同窓会)。本シンポジウムは、『超高齢社会への新たなチャレンジ―文理連携型〈生命社会学〉によるアプローチ―』と題するブランディング事業を本学独自で継続して迎えた9年目の成果と位置づけられます。今回は、『超高齢社会を考えるⅧ〈災害とメンタルヘルス〉』をテーマに掲げ、158名が参加しました(対面46名、Zoom112名)。

本学文学部哲学科小島和男先生の司会挨拶に始まり、第一講演「災害時の医療体制」では、遠藤久夫先生(学習院大学長・社会保障審議会会長・救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会座長)より、発災直後の超急性期から初期、中期、長期にかけて行われる医療支援の仕組みをご解説いただきました。東日本大震災や熊本地震におけるDMAT(災害派遣医療チーム)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)の活動例を踏まえて、時間経過による被災者の心理的変化、課題の変化に対応するためにも多様な担い手が必要であることが指摘されました。

第二講演「大規模自然災害後の長期メンタルヘルス支援」では、鈴木満先生(中外製薬株式会社統括産業医・認定NPO 法人心の架け橋いわて理事長)より、東日本大震災の被災地で13年間も継続してこられた支援活動についてご講演いただきました。活動においては、リスクの高い住民への個別訪問だけではなくコミュニティ支援も重視されており、音楽や物づくりを楽しめる場を通して関係を構築してきた歩みをご紹介いただきました。近年は、担い手の老化・風化対策として国境を越えた支援団体間連携や「隔世世代間交流による次世代担い手プロジェクト」という新たな取組みも展開されており、参加者からの高い関心を集めていました。

第三講演「阪神・淡路大震災に向き合った精神医療者たち」では、久邇晃子先生(本学理学部客員教授・精神科医)より、当時の写真とともに、精神医学者が綴った沢山の記録がそのままに近いかたちの文章で投影されました。被災者と、そして自らも被災者でありながら診療活動を行った精神医療者たち。その時、ひとりひとりのこころの中で湧き出ていた感情を、29年経った今スライドの文字を介して会場から(または画面越しに)垣間見るという貴重な時間となりました。「その時」を経験していない他者がいったいどのように「情報」を「共有」し、行動することができるのか。「ボランティア」の淵源について、深く考えさせられる機会となりました。

第四講演「被災地の支援者を支援する輪の役割」では、吉川眞理先生(本学文学部教授・臨床心理士・公認心理師)より、社会に広くは知られていない「支援者に対する支援」の重要性についてお話いただきました。様々な職種の救援者の中でも、とりわけ個人で活動するボランティアはPTSDの発生率が高いことが示され、支援者を支える組織の重要性が指摘されました。被災地での支援業務と帰着後の日常業務を行き来する支援者は人知れず様々な葛藤を抱え込むことがあり、それらを自らの言葉で静かに語れるよう「環境づくり」を支援しているという心理学の取り組みが紹介されました。

 最後の総合討論の時間では、会場参加者、オンライン参加者から集まった質疑への応答がなされ、柳茂先生(本学理学部生命科学科)の挨拶をもって閉会しました。東1号館イベントスペースを利用した初めての本格的なイベントとなった本シンポジウムですが、教室とはまた違った開放的な雰囲気の中で〈災害とメンタルヘルス〉を考えることができました。10代~70代まで、そして遠く大分県や栃木県、茨城県などからのオンライン接続を含む沢山の皆さまにご参加いただき、ありがとうございました。

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